サヴァン症の青年を演じた平間壮一がIndigo Tomato千秋楽で語ったこと
2019/12/10、Coloring Musical 『Indigo Tomato』が東京グローブ座で大千秋楽を迎えました。小林香さんが作・演出を務めるオリジナルミュージカルで、2018年の初演に引き続き、舞台俳優の平間壮一さんが主演を務められました。
舞台本編の素晴らしさもさることながら、座長 平間さんの挨拶がとても素敵だったので、思い出せる範囲で彼の言葉をまとめました。ニュアンスで書いている部分や私の解釈が入っている部分もあるかと思いますがどうかご容赦くださいませ。
少しだけお時間いただきます。
感覚的な話をさせてください。
たとえば、ストレスがかかっているとき、緊張しているとき、しんどいことがあったとき、プレッシャーに押しつぶされそうなとき、頭と心と脳みそのバランスがどうにもおかしくなってしまっているとき。そんなとき、僕は一つの光景をイメージします。
なーんにもない、まっすぐな地面が広がっていて、そこには自分しかいません。僕一人だけがいる。ストレスの原因とか、いろんなものから切り離されて、なにもない地面に自分しかいない。そんなイメージをします。
そんなとき、自分になにができるだろう?
僕は、自分を愛することしかできない、そう思うんです。
自分にできるのはまず、自分を愛することだけ。
なかなか難しいんですけど、これができて、自分を愛することができて始めて、このなにもない、自分しかいなかった地面に、家族とか親友とか、2ヶ月半くらいかな、一緒に稽古していたメンバーや演出家さんの背中が見えてくるような気がするんです。
自分を愛することができて初めて周りの人の背中が見える。
自分が真ん中にいるけど、周りの人は僕に背中を向けています。僕がちょっと近づこうとしたら、近づこうとした距離の分離れていってしまう。
このカンパニーで2ヶ月間稽古をしてきたけど、今日でこうして千秋楽を迎えて、毎日のように会っていたのに会わなくなって、少しずつ忘れていってしまう。僕は、みんなの背中しか知らないままなのに。
普段の日常もきっとそういうことの繰り返しなんだろうなぁ、と思うんです。お芝居だけが特別じゃなくて、少しずつ会わなくなって、少しずつ忘れていくことばかり。生活って、そういうことがずっと繰り返されるんだろうなぁ、そんなことを思います。
僕がこういうイメージを持てるようになって、こういうふうに考えられるようになったのはIndogo Tomatoの初演、再演という時間をいただいたからです。
僕は皆の背中しか見えていなくて、きっと、できることは自分のことを心から愛してあげることくらいしかできないんだと思います。でも、たぶんそれでいいんです。周りの人の背中が見えなくて、こちらから近づいてもその距離が縮まらなかったとしても、それでいいんです。僕にできるのは、自分自信を愛することだけで、そうしていたら、きっといつか、背中を向けていた相手が僕のことを振り返ってくれる日がくる、と思っています。
本日はご来場いただき、誠にありがとうございました。