我慢は体に悪いので

なにを言うにも口数が多い

スタートラインを引いたあのとき、ゴールは想像しなかった。DreamLive2020全公演中止によせて

今日、ミュージカル テニスの王子様3rdシーズン最後の公演、集大成となるドリームライブ2020の全公演中止が発表された。

 

2015年2月に3rdシーズン最初の公演となる青学VS不動峰戦がスタートして5年。

2ndシーズンからテニミュを見始めた私にとって、はじめて劇場で観た不動峰公演。

「あの曲は残るかな」
「どんな演出になるんだろう」
「新しいキャストはどんな子たちかな」

夜行バスで仙台から東京に向かって、初めて外苑前駅で降りた。改装前の日本青年館で、上手側1階15列目くらいの席に座って、テニミュの開演前にはお決まりのキュッキュッとシューズの擦れる音が聞こえるのをわくわくしながら待った日のことをいまでも覚えている。

あれから、5年。

たくさんの思い出をくれたテニミュ3rdシーズン。

不動峰戦を観たときは仙台の大学生だったわたしは、働き始めて東京に住むようになった。転職もしたし結婚もした。その間の5年間、わたしは飽きもせずずっとテニミュを好きでいる。初登場のキャストを見るときの緊張も、息の止まるような激しい試合も、ラケット片手に踊るダンスも、観戦するチームメイトのベンチワークも、ちょっとトンチキな歌詞も、ドキドキしながら見るアドリブも、妙にダサい私服風衣装も、枯れるほど泣いてしまう卒業も、全部が好きだ。

いつだって「一年に二回、夏と冬は絶対テニミュの公演がある」と思えたからやってこれた。大学生のころ憧れていた「仕事帰りに優雅にテニミュで観る」という夢は何度も無理やり叶えてきた、だいたい水道橋駅からTDCまでパンプスでダッシュしてたから優雅ではなかったけれど。仕事で失敗して「シャカリキファイトブンブン」をトイレで聴いて一人で小さく踊って、なんとか立て直したこともあった。

3rdシーズンは、新しい試みに沢山チャレンジしてくれて、いつだって楽しませようとしてくれていたように思う。

ミュージカルの本公演、ドリライの演出は言わずもがなだし、
各校だけでライブやトークを行う「チームパーティ」「チームライブ」に
本当に学校みたい!と思っちゃうような15周年記念の「テニミュ文化祭」。

はじめてシーズンの最初から見続けられた3rdシーズン。
すべての学校、すべての青学に思い入れがある。脳裏に焼き付いていまでも忘れられないシーンが山ほどある。

永遠に終わらないでほしい、とさえ思ったテニミュ3rdシーズンだった。

終わってしまうのが本当にさびしくてかなしくて、ライブビューイングで全国大会立海後編を観たときは涙が止まらなくてハンカチがびしょびしょになった。

そんな3rdシーズンの集大成となるドリライ2020が開催されない。延期ではなく、中止。

うすうすわかっていたし、覚悟もしていたつもりだったけど、いざ発表されてしまうとどうしようもなくやるせない。

テニミュを卒業して、それぞれの道に向かっていく彼らの最後の記憶に、自分たちの学校カラーにキラキラ輝く海のようなペンライトの光は残らない。大きな声で呼ばれる自分の名前は聴こえない。もう一度袖を通すはずだったユニフォームも着られない。チームメイトと歌うはずだった校歌も歌えない。

四天宝寺のみんなは一度もドリライの舞台に立たないまま卒業していくんだね。

最後のドリライがあってもなくても、きっと彼らにとってテニミュは大事な思い出になると信じている。そんなことはわかっている。それでも、ファンのエゴでしかなくても、3rdシーズンを駆け抜けてくれて、頑張ってくれてありがとう、大好きだよって伝える機会があってほしかった。

キャストも、スタッフも、運営も、ギリギリまでなんとか上演できないか粘ってくれたことくらいは想像がつく。それだけにやるせなくて、さびしい。

スタートラインを引いたあのとき ゴールは想像しなかった
どこにあるんだ 最後の目標
それを探すための試練と喜び 

 

2018年のなついあつ、全国氷帝戦。身の焦げるような試合が終わって、アンコールが始まる少し前、まだ薄暗い会場に響くこのフレーズを聴くだけで泣いてしまっていたのを今更思い出す。わたしはこう思って泣いていたのだ。

テニミュのオーディションを受けているころ、彼らはきっとテニミュを卒業することなんかまったく考えていないんだろうな、もしかしたら今もまだ想像してないかもしれない。卒業のドリライでこの曲歌われたら泣いちゃうだろうな」

なんて呑気だったんだろう、彼らにとって「最後のドリライ」はもう永遠に来ないのだ。

www.tennimu.com

公演中止を知らせる文面はこう締めくくられている。

テニミュ3rdシーズンの節目の大切な公演を中止とせざるを得ない状況を非常に残念に思っています。
改めて、キャスト、スタッフが安全で、皆様に楽しんでいただけることを提供できるように引き続き努力を行って参ります。
発表できるタイミングが来ましたらこの公式HPで発表させていただきます。 

 

こう言ってくれるだけで十分だ。

主役、越前リョーマを演じる仁愛ちゃんのツイートを見てはっとした。

頭の中で、何度も劇場で聞いた青学トリオの台詞が蘇る。

どんなに不利な状況でもリョーマ君ならなんとかしてくれる気がするんだ!

これこそテニミュの座長だ、本当に立派になったね…!とこのツイートを読んでまたひとしきり泣いた。

ドリライ2020が行われることはもうない。

けれど、彼らが一生懸命に準備してくれてきた事実は変わらない。

あいも変わらず応援することしかできないけど、応援することなら得意なので頑張ります。

I WANT TO MEET AGAIN...
MEET AGAIN!

テニミュ、ありがと~~~~!!!