我慢は体に悪いので

なにを言うにも口数が多い

いつだって今が一番面白い アンコールに込められた祈り - ミュージカル『テニスの王子様』4thシーズン 青学vs不動峰 感想 (ネタバレあり)

www.tennimu.com

 

初日から一週間。やっと4thシーズンの幕開けをこの目で目撃してきました

スタッフ陣が発表されたときから絶対面白くなるとわかっていたのに、想像を遥かに超える演目に仕上がっておりあまりの楽しさと嬉しさに頭が痛くなるほど泣いた

 

 

f:id:snackshk:20210717215507p:plain

https://www.tennimu.com/4th_2021fudomine

梅雨が明けて、このメインビジュアルと寸分も違わない晴天の今日、この公演を見られたというのもなんだかこれからのテニミュに行く先を示しているようで嬉しかった  嬉しくて楽しい気持ちのときはもうなんだって幸せなんだ

始まる前から似たようなこと言ってた、なついあつに見るテニミュこそ夏の風物詩だからね 何回喋ってもいい

 

 テニミュは実質夏祭りみたいなもんだから浴衣だって着ますし自撮りだってする

 

開演直後の感想

 

 

 

開演前の印象

 

 

 

 

 

これ、HPにはないけどパンフレットに記載されていました、なんと三浦さんとYuさん両名が作詞担当ということです ッッッカ~~~最高でしたよ 素晴らしかったですとも

 

 

 

これだけテンション上げて興奮しながらなんか微妙にNFMだったらどうしよう…という不安も抱きつつだったけど、TDCホールに着いて座席に着席した瞬間に安心した

 

舞台セット

まず誰が見てもわかるセットが違う。これまでのテニミュは床面にデザインされたテニスコート+ネット+ベンチのセット+たまに部室や病室などのセット、というつくりだったのだが、なんと本公演は大きく変わっていた

舞台後方のスクリーンに公演ロゴが映し出され、舞台を隠すように設置された壁のようにもネットのようにも見える可動式の大道具に、プロジェクションマッピングで、注意事項の文字が映し出されている

 

"全てが一新した"テニミュ4thシーズン開幕、今牧輝琉「バトンを受け継ぎ、最高の幕開けに」  幕が開いたらこんな感じ  

もうこの時点で勝ったようなもん  18年間ほとんど変わってこなかったテニミュの舞台設備がこんなに大きく変わっている、しかも惜しげもなく開演前からその姿を晒している、これはもうこの時点で勝ちです。「4thはこれまでとは違うんですよ」の意志が既に強くまっすぐ伝わってくる

 

この斜めに作られた舞台セット、あらゆる場面であらゆる役割を果たしており、もうあまりの天才の仕業。グッドデザイン賞を授与したいところである

 

演出・構成

冒頭、いつものラリー音で始まったかと思いきや、セットに桜の花びらが映し出され、学ラン姿の青学メンバーたちがその向こうにいるのがうっすら見える。この時点で諸々察して泣き始めるわたし。桜とともに現れる「原作:許斐剛」。そして聞こえる手塚部長の答辞。夢にまで見た、卒業式シーンから始まるテニミュ不動峰公演がここにあった。あ~~~また夢が一つ叶ってしまった。叶っちゃったね、よかったね。

青学の卒業式かもしくは、全国制覇を叶えた瞬間から始まる不動峰公演を見てみたいとずっと願っていた。だから、それを見せてくれた4thシーズンは何が何でも、絶対に一つも抜けず漏らさず、最後まで見届けようと決めました。付いていきます。

テニミュは始まってからもう18年、でも、たかが18年。所詮私は2ndシーズンからしか見てないけど、それでさえ、3rdシーズン全国氷帝~全国立海後編の演目には強くは心惹かれなかった。チャレンジングだった要素が失われて、2nd以前の焼き直しになっているように見えたから。

4th不動峰は「テニミュの新しい見せ方を考えよう」ではなく、なにもないところから「テニスの王子様」のミュージカル化をやり直したように感じた。だから、セットも変わったし、曲も全部変わったし、構成も、演出も、アンコールも、全部全部新しくなった。でも、私が今まで10年間好きでいつづけたテニミュそのものだった、そのことがめちゃめちゃ嬉しかった

テニミュボーイズ」、間違いなく発明でした。新テニミュからそうだったけど、これはもう革命と言っていい。林もマサヤンも、荒井先輩も、不動峰の"顧問への抗議をチクリといちゃもんつけ俺たちをボコボコにした卑劣な先輩"たちも、玉林中ダブルスも、柿の木中の九鬼貴一も、果ては立海の真田柳赤也まで!「影」ではなくキャラクターとして出演したことで、物語がとにかくわかりやすくなったし、"卑劣な先輩"たちが天の声だけじゃなく生身のキャラクターとして出てくることで、不動峰がどんな学校であるか、ということの理解が2000倍は深まるシーンになってた。面白かったな~~~はあ もうすでにまた見たい

不動峰戦で南次郎が出ること&月刊プロテニス記者井上の存在&不動峰のレギュラー入りの約束を反故にした顧問の出現&青学3年卒業式シーンでの手塚ドイツ行き宣言、の要素によって「テニスの王子様」自体の主題が浮かび上がっている(あとで書き足す)

楽曲

流行りのお洒落2.5次元ミュージカルになっている…!?という衝撃。  大して2.5次元見てないのでこれは完全に印象。

3rdまでのテニミュは曲のインパクトが強すぎて(私もそれが大好きだし、それがテニミュヒットの要因であったこともわかっているのだが)、一曲一曲、すべての曲のパンチの強さゆえに、作品と曲が「自然に」はマッチしていなかったのかもしれないな、とピンときた。だからこそ今までのテニミュ読解ブログは曲の分析が中心になることが多かったんじゃないかな(肌感)。

4th不動峰は、一回しか見てないからかもしれないけどいわゆる「パワーワード」に頼るような楽曲はなくて、作品の中で自然に受け止められる無理のないメロディー・曲調と、台詞の中に混ざっていても違和感のない歌詞を備えた癖のない「劇中歌」のような楽曲が多く採用されている印象を受けた。どの曲も、奇をてらうことなくとにかく原作に忠実に、キャラクターの雰囲気を最大限掬い上げるような作りなのかな、と推測している。

めちゃ耳に残る曲は「プリンスオブテニス」のやつ(涙)と「0!15!30!40!ウィニングショット!!!」くらいかと思うのだけど(私見)、それくらいで十分なんじゃないかな… 具体的には思い出せなくともあのシーンの大石くんよかった…!と思えればそれで十分なのでは。脱線するけど大石副部長のあの「恋風」的な…青学テニス部にも新しい風が吹いてくるぞ!と歌う姿はもうTikTokでバズった弾き語りアーティストかと思わせる雰囲気がありました。大石副部長、圧倒的新解釈。2nd四天で杉江as一氏ユウジを見たとき以来の衝撃、理想の彼氏としての大石秀一郎。すき。乾先輩と二人で並んだときの大人感がやばい。

不動峰HIPHOPテイストもよかったし、越前南次郎の曲がいちいちアナ雪のオラフだったのに「そこ!??!?」って笑いつつも納得したりしたけど、本公演のMVPは不動峰伊武深司のソロ曲「スポット」。あれはなんていうの?ダウナー系シティポップとでもいうんですか、ぼやく伊武にぴったりの楽曲。あれ始まった途端「やられた…」と嬉し涙を流した、なぜ今までその発想がなかったのかとめちゃめちゃ悔しかった、わたしはこういう瞬間がマジで大好き。「スポット」歌いながらセットの位置が変わって、試合の空間がぐっと狭くなる視覚効果にもぐっと来た~総じて最高だったS2…。

どの曲も目立ちすぎて浮いていることがなかったから、キラーフレーズに囚われることなく話に集中できたり感情の動きにフォーカスできたりと、楽曲の変化が総じて作品全体としての完成度が今回ぐっと上がったように思った大きな要因の一つのような気がした。歌唱曲に限らず、これまでにテニミュは無音で進めることも多かった芝居シーンのBGMも上質になったなという記憶があるが具体例が思い出せない…。敢えて無音で進めるラリーシーンがあったのも良かったな。カーテンコールがオリジナル曲だったのもよかった~~~。

振付

梅棒の遠山さんが入ったことでバチバチに期待していた振付も攻めてて、めちゃめちゃ今っぽくなってた、ダンスや振付について語る言葉を持たないのが悔しいが…

不動峰公演という初回にして伝説の禁じ手「ラケットを使わない」を繰り出してきたの痺れまくった、たしか「0!15!30!40!」のやつ。やっぱりラケット持たないだけで、表現できることがぐっと増えるんだろうな。フォーメーションのこだわりも、青学と不動峰の性質の違いを表すのも、なにからなにまで魅力的で最高。ダンス面では不動峰の内村くんがバカダンス上手くて目を引いた、気になる。

芝居

青学も不動峰も皆とにかく芝居がうまい…。あれだけ人数いたら2~3人はうーんと思ったり、か、解釈が合わない…というキャラクターがいるのがいつものことなのだが本公演、芝居でストレスを感じたことが一度もなく感激。演出にプロジェクションマッピングなどの映像が増えたり、シチュエーションがわかりやすくなったことで演者が演じやすくなったのか、それらの演出に助けられて芝居が気にならなかったのかはわからないが、これまで役者の演技力と観客の事前知識と想像力頼みだったシーンの読解がかなり迷いなく理解できるようになったことも影響してるんだろうな

とか考えたけど純粋にキャストの芝居が上手いだけな気もする。全員芝居がうまいよ

各キャラの印象の話も書き足したい、とくに喋りたいのは大石副部長、菊丸、河村先輩、桃、リョーマくん、橘部長、神尾、伊武、かな あと南次郎と月刊プロテニス井上。

アンコール

カーテンコールから間をおかずに曲が始まり手拍子を煽られる、2フレーズほど歌ったところでリョーマくんから「今から俺たちが選手宣誓するよ~」と言われ、なに!?と思っていたらまさかひとりひとり曲に乗せて自己紹介(=選手宣誓)が始まっていく、そのうえ客席がすると想定されていたはずのキャラクターの名前がスクリーンに表示されるという新しい試みで、滝のように泣いた

4thシーズンの構想は2019年頃からあったんだろうし、このアンコールも三浦さんはその頃から考えていたのかもしれない。でも、この曲がいよいよ完成し実際にこれでいこうという決断を下したのはきっともうコロナ禍で、観客が実際には声を出せるような状況じゃないこともわかってたんだと思う。でもその中でこの曲、この作りの曲を採用したというのは、三浦さんの 制作陣の祈りなんじゃないかと思うんです

心のなかで声を上げるしかなかった自分が心底不甲斐なかった。頼むから彼らがテニミュからの卒業を迎える前に、TDCホールで、横アリで、あの子たちの名前を全力で叫ばせてくれ。その日が来ることを、意志ある制作陣に負けないくらい強く祈る。